Power Automate Desktopに挑戦しようとする人の中にはこれまでプログラミング等にあまり触れてこなかった人がいると思います。私もそうでした。
PADはそういった方にも比較的習得しやすいものですが、「変数」という概念が習得のネックになることがあります。
変数とは
よく説明に用いられるのは、「変数は箱である」という表現ですね。
箱にはさまざまなものを入れることができ、それを取り出して別のものを入れることができます。
「変数」という箱に「1」を入れたり、「2」を入れたり、という使い方をします。
ただ、変数の定義がわかっても、なぜそれを使わないといけないのかという疑問が私にはありました。
実際にフローを作る中で考えていきたいと思います。
PADにおける変数
私はまずRPAツールとしてPADに触れましたが、Winactorも少し使ったことがあります。
正直な話、PADのみを使っているときは変数というものを特に意識していませんでした。
PADはアクションを追加すると必要な変数を勝手に作成してくれるからです。
Winactorを使ったときに、PADの「変数を作成してくれる」という機能がいかに便利か気づくことができました。そして変数の重要性にも気づきました。
つまり、変数がよくわかっていなくともPADでフローを作ることはできます。
ただ、よりよいフロー、メンテンナンスのしやすいフローにするためには変数を駆使することが必要です。
変数の実例
Excelを使ったフローで見ていきたいと思います。今回は2023年度というファイルと2024年度というファイルを用意しました。
作ったフローは下画像になります。

最初のアクション「Excelの起動」で「ExcelInstance」という変数が作成されています。
その後のフローでも「ExcelInstance」という変数を用いて対象のExcelを指定しています。
箱という概念で説明すると、「ExcelInstance」という箱に「2023年度」というファイルが入っている状態です。
変数の便利なところ
③で示したフローは年度が切り替わるときに「2023年度」を操作するフローから「2024年度」を操作するフローに修正する必要があります。(事務仕事だとよくあることです…)
修正後は下画像のようなフローになります。

赤で囲んだ部分を修正しています。逆に言うと、赤で囲んだ部分だけ変更すれば修正が完了するということになります。
変数を用いないと仮定すると、3つのアクションすべてを修正する必要がありますが、
変数を用いることで1つのアクションを修正するだけで済みます。
これが変数の便利なところになります。ほかにも便利な点はありますが、私はこれが理解できたときに世界が変わりました。
さらに変数を便利にするために
④で示したように変数は便利なものです。これをさらに便利に使う方法があります。
PADには「変数の設定」というアクションがあります。これとExcelを組み合わせて、
変数をExcelファイルで管理します。
③のフローを下画像のように改修してみました。

注目は最初の3アクションになります。
まず変数を管理するExcelを用意します。それを読み取り、変数の設定アクションで
変数を作成します。


その後のフローでは作成した変数「Excelファイル」を使っていきます。
このようなフローにすることで、年度が切り替わるときにPADのフローはそのまま、
Excelファイルを修正すればよいだけ、となります。
これは変数が増えていくと威力を発揮するフロー作成のコツですので、取り入れるのがおすすめです。
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